[00:00.004]「もしも、忘れなければ」 [00:22.780] [00:24.670]鬼ヶ島の中央に円尾坂 [00:29.590]坂の上の刑場にはさらし首 [00:35.040]長い血染めの髪 風に吹かれ [00:40.360]さらりさらり横に流れゆく [00:45.840]いかなる罪犯した首であろうか [00:50.970]何も知らぬ旅の僧が人に問う [00:56.550]呉服屋の主人とその家族を [01:01.700]鋏で刺した女だという [01:07.390]かように美麗な女子(おんなご)が [01:13.200]なにゆえ人を殺めたか [01:17.330]野ざらしの女は何も語らない [01:22.620]嗚呼 鬼ヶ島 さらし首 [01:28.600] [01:48.720] [01:49.890]咎人の供養も愚僧の務め [01:54.910]あくる日も訪れた円尾坂の上 [02:00.510]首の前に先客 童(わらし)が一人 [02:05.860]彼はいかなる者であろうか [02:11.150]僧の問いに童はこう答えた [02:16.520]この首を切り落としたのは自分だと [02:21.800]罪深き女だが憐れでもある [02:27.120]共に手を合わせ経を唱えた [02:32.660]女は腕のいい仕立屋で [02:38.450]雅(みやび)な着物を織ったという [02:43.280]されどもう鋏を持つ腕もない [02:48.360]嗚呼 円尾坂 さらし首 [02:53.900] [03:14.470] [03:15.740]どんなに綺麗な着物でも [03:21.120]胴が無ければ着られない [03:25.390]野ざらしの女は何も語らない [03:30.660]嗚呼 鬼ヶ島 さらし首 [03:36.120]嗚呼 円尾坂 さらし首 [03:41.290]